「新たにサントスFCの時代が到来」

2012/05/14(月)

 ヨーロッパのシーズンが閉幕の時期を迎え、香川真司はボルシア・ドルトムントでドイツカップ決勝、バイエルン・ミュンヘン戦でも輝きを見せた。イングランドでは、マンチェスター・シティが44季ぶりにタイトルを獲得したし、セリアAではユーベントスが、リーガ・エスパニョーラではレアル・マドリーが記録的な勝ち点ダッシュで優勝した。同じ日、僕は、ブラジルの各州リーグの決勝戦にも関心を深めていた。

 コパ・リべルタドーレスで活躍しているフルミネンセもリオのタイトルを獲得したが、サンパウロ州選手権(Campeonato Paulista, Paulistão)決勝、サントスFC対グァラニーFCの第二戦に注目していた。時差の都合もあって、今朝、テレビ観戦をした。

 20歳になったばかりのネイマールが、凄い。第一戦でも2得点、そして、モルンピー・スタジアムでの第二戦でも2得点。サントスFCの創立100周年を祝うために、大車輪の活躍といっても過言ではない。スピードに溢れたテクニックと決定力は、リオネル・メッシとも比較されている。

 サントスFCは、昨年末のクラブ・ワールドカップではバルセロナFCに惨敗したが、一昨年、コパ・ド・ブラジル、昨年、コパ・リべルタドーレスのタイトルを取り、今回は、サンパウロ州リーグの3連覇を達成している。ブラジルでは、王様、ペレが現役時代に作り上げてきたものに相似していると言われている。ペレと同じように時代を作る、その選手がネイマールであると誰もが信じて疑っていない。

 いよいよ、来週からはブラジル選手権(Campeonato Brasileiro, Brasileirão)が開幕する。コパ・リべルタドーレスもベスト8の戦いが始まる。よりハードなスケジュールに突入するが、ネイマールを始めとするサントスFCの試合には目を離せない。

 ペレが作り上げたサントスFC、ブラジル代表の輝かしい歴史は、残念ながら、僕の世代でも知らないことが多すぎた。今、ネイマールが、ペレと同じような素晴らしいパフォーマンスで、僕らを魅了してくれるように期待している。

 アルゼンチン代表は、ロンドン・オリンピックの出場権を逃している。従って、メッシのプレーは、オリンピックでは見ることができない。ブラジル・オリンピック代表のエースとして、ネイマールは新たな伝説を作り上げるのではないかと思っている。

 さて、日本代表は、如何なものであろうか。オリンピックにOA枠を活用するのか、そして、活用するとして誰になるか興味は尽きない。香川真司をオリンピックで観てみたい、多くの人々も感じているかもしれない。他に、新たなヒーローも生まれるかもしれない。そして、その前のワールドカップ予選、楽しみではあるが、僕は、友人のオジェックが監督を務めるオーストラリアを一番に警戒している。

 オリンピックは短期決戦、意外な結果もあるかもしれない。しかし、ワールドカップ予選では、意外な結果はいらないと考えたい。

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「8-0」

2012/05/12(土)

 コパ・リべルタドーレスR16、サントスFC対ポリバールの試合を観戦した。ネイマール、ガンソ、エラーノ、カルデックのそれぞれの複数得点で8得点を挙げての大勝。先週、標高3,660mの高地、ボリビアのラパスで1-2で敗戦していたこともあってか ホームでの第二戦は気持ちが入っていたように感じた。

 余りにものゴールラッシュに、時を忘れるほどの面白さと素晴らしさを感じた。殆どの得点に絡んだネイマールの活躍は素晴らしく、サントスFC史上、ペレに次ぐ二番目の106点目を挙げて、弱冠20歳のプレーヤーがポテンシャルの高さを示した。

 リオネル・メッシがクリスチアーノ・ロナルドがヨーロッパで得点記録を打ち立てているが、南米では、ネイマールが輝かしい記録を作りつつ華麗なゴールを量産している。

 ネイマールはブラジル代表としてロンドン・オリンピックに出場するので、日本代表の試合とは別に興味が尽きない。オリンピックを重要視していない時代が長かったとはいえ、ブラジルは金メダルを獲得していない。自国でのワールドカップ優勝が使命のマーノ・メネゼス監督も、オリンピックの結果次第では解任される可能性もある。ある高名なブラジル人監督は、セレソンの監督にスペイン人のグアラディオラを推奨することもあって、世界一のポジションはブラジルにとっては至極自然なものである。

 先日、友人の加藤寛氏に誘われて、同氏が監督を務めている親和女子大学の試合を観戦しに行った。513日から関西女子大学1部リーグが開幕するとあって、練習試合を多くこなしていて準備に余念がない。二年ほど前から同氏が指導するチームを、時々、観戦させて頂いていた。

 同氏から、試合後、印象を聞かれた。チームは成長していると応えたが、同氏はチーム作りに壁があると感じていた。理由は、大学に入学してからサッカーを始めた選手が多いので教えることの難しさを実感しているとのことであった。

 その後、同氏が運営しているフットサル・スクールに参加させてもらった。以前も参加していたのであるが、何カ月もの間行っていなかった。驚くほど環境が変わっていた。ひとつは、フットサルを楽しむひとが増えていたこと。女性の人数が多くなっていたこと。そして、フットサルを楽しみたいとするひとが、明るく輝いていたことである。ボールに触れることは、人間として快感をもたらしてくれるものと再認識できた時間であった。

 ブラジルでは、各州リーグが佳境を迎えていて、13日にはチャンピオンが決定する。ネイマールが活躍するサントスFCは、グァラニーFCと決勝第二戦を戦う。初戦にネイマールの2得点で快勝してアドバンテージがある。8万人を超えた香川真司のボルシア・ドルトムント、9万人のウェンブリー・スタジアムでカップを獲得したチェルシーFCFAカップ、メッシが躍動したバルセロナFCのカンプノウには89千人の観客を集めて、ひとびとを感動させた。サントスFC対グァラニーFCの試合も、モルンビー・スタジアムに多くの観衆が集まるであろう。

 大観衆の前で試合が行われる素晴らしさは多々体験してきたが、関係者しかいない試合でも熱戦が繰り広げられることにも興味が生まれている。

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「ブラジルにとっては、憂鬱な日」

2012/04/06(金)

 

 ブラジルにとって、今までで最も憂鬱な日になったとは思わないけれど、その小さなひとつの日を迎えたのではないかと恣意的に思い入れもあって感じてしまった。

 コパ・リべルタドーレスの予選リーグ、名門のフラメンゴは1週前にアウェイでパラグアイのオリンピアに2-3で敗北していた。そのこと自体、フラメンゴのラウンド16への進出が危惧されていた。そして、日本時間でいえば、45日の午前の試合でエクアドルのエメレックに同じスコアで敗れてしまった。アスンシオンとグアラジャキルというアウェイであっての試合ではあっても、タイトルを狙うチームとしては連敗は許されるものではない。

 昨年、ACミランからフラメンゴに移籍してきたホナウジーニョ・ガウショは、チームを離れたいとアクションを起こし始めた。オリンピアがフラメンゴに勝利した後、直ちに、パラグアイ人の友人と話した。ブラジルに比較すれば選手の報酬は遥かに低いけれど、パラグアイには外国選手枠がないので、良い選手が多くいますよと。オリンピアには、登録26選手中12人の外国選手がプレーしている。香川真司選手がブレークしているブンデスリーガと似た様相を、僕は感じた。勿論、報酬を含めた待遇面については、ドイツとは比較にはならないと思っている。オリンピアもリべルタも、ラウンド16への進出の可能性を残している。ブラジルやアルゼンチンだけがイニシアチブが取れる時代は、変わりつつある。

 一方、今週、フラメンゴはエメレックに同スコアで敗戦、予選リーグでの敗退があたかも決定してしまったようだ。エメレックは、オリンピアと異なりエクアドル人選手のみで構成されている。フラメンゴの失意は大きく深いが、リオデジャネイロ州以外のパウリスタ(サンパウロッ子)、ミネイロ(ミナスジェライスッ子)、パラナエンセ(パラナっ子)、ガウーショ(リオ・グランジ・スルっ子)、とりわけ、フラメンゴのライバルのフルミネンセ、ボタフォゴ、ヴァスコダガマのカリオカ(リオっ子)にとっては、面白い結果であると感じている。国内でのライバル意識が、高い所以である。

 フラメンゴがエメレックに敗戦して10時間後ほど、ブラジル女子代表がなでしこジャパンに完敗した。ブラジル国内のメディアは、なでしこが魅せた試合を支配する能力の高さと技術力をも受け止めつつも、自国の女子代表に不安を感じ始めた。来日前のカナダとの試合も1-2で敗れ、ライバルのアメリカと日本に大敗を喫してしまったからである。スカートをはいたペレことマルタを召集できず、テクニシャンのフォルミーガを負傷で欠いたとはいえ、ロンドンでの金メダル獲得が使命であることに暗雲が漂い始めた。5月に、フランスとポルトガルとの対戦を経て、ブラジル国内での合宿を行った後ロンドン入りする。しかし、不安は、大きいようである。

 親善大会といえども快勝したなでしこに、驚異と脅威を感じ始めている。アメリカへの優位性も示すことができたなでしこ、世界との勢力地図が変貌しつつあるように期待したいと思う。強豪クラブ、フラメンゴに勝利した環境面に劣るクラブが実証していることのように。同様なことが、今や層が厚くなりつつあるなでしこのチーム内で、ロンドンへの切符が18名の選抜という狭き門があり、それを通過するための競争原理が根底に生まれつつあると思う。

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「16名のオリンピックOA枠候補」

2012/03/16(金)

 315日の夜、僕は知人、友人たちとホームズ・スタジアムにいた。日韓女子リーグチャンピオンシップを、冬が逆戻りしたかのような寒さの中での観戦であった。2,200人少々の観客数で、スタンドは更に寒さを助長したように思えてならなかったが。INAC神戸レオネッサが、どのような試合を韓国チャンピオンの高陽大教ヌンノピと戦うことについて興味を覚えていた。

 試合前のウォーミングアップを見ていて、技術的にはINACの方が優っていると感じたし、内容も上回っていると思っていた。試合開始早々から、INACはゲームの主導権を握れていた。そして、前半8分、左サイドからの中央へのグランダーのパスを高良亮子選手のタイミングの素晴らしいパスから、大野忍選手の目の覚めるようなペナルティエリア内でのスピードに乗った突破とテクニックの優れた冷静なシュートで早々と得点を挙げてしまった。圧巻という表現が適切ではないかと、思ってしまった。

 今月いっぱいは高校生の身分の京川舞選手が、交代出場後、2得点を挙げる鮮烈なデヴューも飾った。視野が広く、的確なポジショニングができるからこそゴールできたものと感じた。将来のなでしこジャパンのエースになることを、スタジアムにいた人たちのみならず、チームメートも佐々木則夫代表監督を確信したのに違いないと思わせるパフォーマンスであったと思う。同世代の仲田歩夢選手のフィジカルの強さからの突破も、可能性の大きさを感じさせてくれた。

 なでしこジャパンは、昨年のワールドカップ優勝で確実に自信をつけ、成長し続けていると感じられた。代表のスケジュールでチーム練習に支障があったと思われて戦術やコンビネーションがプレシーズンの段階でしかないINACが、個の力は実証できたと感じられたからである。若い新戦力の台頭も順調であり、ロンドンオリンピックは楽しみである。

 一方、U-23もロンドンへの切符を勝ち取った。扇原貴宏、山口蛍、清武弘嗣の3選手、セレッソ大阪トリオが素晴らしく感じた。しかし、現有勢力では、メダルに届くことは頗る難しいと感じてしまう内容であると思った人は多いと思う。OA枠の活用、ヨーロッパでブレークしている香川真司、宮内亮、両選手もメンバーに入れて戦う必要性は高いと感じる。

 日本がオリンピック出場を決定した同じ日、ブラジルでは、マーノ・メネゼス監督がロンドンに向けて52名もの大量の候補選手の氏名を早々と発表した。実際、フル代表、セレソンでプレーしているロンドン世代のサントスFCのネイマール、ガンソ、サンパウロFCのルーカス、インテルナショナウのレアンドロ・ダミアンなど多くの逸材が当然の如く選ばれた。そして、52名の中にオーバーエージ枠の16名ものの選手の氏名も発表されたのである。どのポジション、GKDFMFFW、すべてにOA枠の選手を選考した。最大の3選手がOA枠に選ばれたとしても、13選手は落選する。フラメンゴのホナウジーニョ・ガウーショやバルセロナのダニエウ・アウヴェス、インターミラノのジュリオ・セザールなども、錚々たるメンバーとして候補選手として選ばれた。

 ブラジルは未だにオリンピックで金メダルを取ったことがないが、今回は、自国開催のワールドカップとともに頂点を目指す。目標を達成するために、敢えて、どの国も候補選手を決定しないこの時期に発表したことの理由に、18人に絞るまでの周到な能力分析と評価を行いたいとする発想がある。

 期待大のなでしこに負けず、U-23のチーム構成と活躍を期待したいと思う。

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「コピーニャ」

2012/02/13(月)

 コパ・サンパウロ・ジュニオール、U19のサンパウロ州サッカー連盟主催の恒例の大会が125日に終了した。午前10時キックオフの決勝にも拘わらず、サンパウロ市のコリンチャンスとリオデジャネイロ市のフルミネンセの名門対決には、サンパウロ州立パカエンブー・スタジアムに37,000人の観衆を集めて熱い戦いが展開された。結果は、コリンチャンスが43回目の大会での8度目の優勝を飾った。

 コピーニャ(Copinha)の愛称でも知られるこの大会は、ブラジル国内に限らず、世界中のスカウトが集まる若い選手のスター街道をもたらす大会でもある。自分の親しい友人であるジョゼ・オスカー・ベルナルディ氏が運営するブラジリスFC(Brasilis FC)からは、3選手がコリンチャンスにレンタルされていて興味が高かった。そのようなことを知っていたので、育成というべきか若い選手の成長に関心を抱いていた時に、滝川二高から40名以上のJリーグ選手、海外でプレーする選手を育てた黒田和生氏と会食する機会があった。同氏は、ヴィッセル神戸を離れて、新たな挑戦をしたいと語っていた。

 同氏と話をしていて、共感することが多々あった。選手を育てることについて、同氏は、個性を伸ばすことを最重要に考えていたことと説明してくれた。会食中、ドイツのシュットガルトで活躍している岡崎慎司選手から同氏に電話が入った。教え子である同選手は、同氏を未だに慕っているものと感じた。恣意的な印象であるが、恩師に対する自分を自由に育ててくれた信頼関係のようなものを感じた。

 自分は、マニュアルという言葉に余り興味を覚えていない。理由は、生まれ持った、或いは、育った環境の中で個性を育んでいることを妨げてしまうことになりかれないと思うこともあってである。

 その後、サントスFCのネイマールが自身の誕生日の試合で、20歳にして通算100ゴール目を挙げた。所属クラブのサントスFCでのトップチームの得点だけではなく、U-17U-20、そして、セレソンでのゴールを含めてである。ネイマールも、コピーニャでの活躍が認められてトップチーム入りを果たしていた。

 ブラジルでは、1月の中旬から各州で、州リーグが始まっている。タイトなスケジュールの中で、年間、100試合をこなすチームもある。ネイマールは、先日、100ゴール目を挙げた後のサンパウロ州選手権(州リーグ、Campeonato Paulista)で、15分間でハットトリックを成し遂げて好調さを維持している。コピーニャで活躍し注目され評価された若い選手も、各州のリーグ戦でトップチーム・デビューを果たしている。

 コピーニャは、将来のスター選手が発掘される登竜門的な大会であるが、黒田氏と話していて個性を伸ばす奥深さを感じた。コパ・エスペランサ、U-18U-15U-12、そして、女子のチームを対象にした大会を、黒田氏の提唱で長い年月に渡り回を重ねてきているという。211日と12日、兵庫県下で東日本大震災に遭遇した塩釜FCを含めて日本全国から、多くのチームが参加した。黒田氏の意図は、普段、レギュラーとして試合に出られないBチームの選手に体験を積ませたいと考えた企画であるという。登竜門というと大げさになってしまうが、試合ができる機会を作り出すこと、そして、周囲が気づいてくれない個性、ポテンシャルを引き出すこと、こうした機会が継続されていることに将来の明るさを期待してしまった。

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「更に、新世代」

2012/01/16(月)

 先月、1カ月、ブラジルに滞在していたが、公式戦については、ブラジル全国リーグ(Campeonato Brasileiro)最終節でのコリンチャンスの優勝とJリーグ初優勝の柏レイソルの試合のTV観戦しか実現しなかった。旧知の友人を訪れる旅であったのであるからして、スタジアムに足を運ぶことは二次的であったので仕方のないものであった。

 皮肉なもので、ブラジル時間の早朝に起床して眠気と戦いながらのJリーグの試合をチェックしてしまうことになったが、友人のネルシーニョの快挙に接して嬉しくも感じた。同様に、日本で開催されていたクラブ・ワールドカップも同様に早起きをしなければならなかった。しかし、自宅で独り観戦することとは異なり、ブラジル人の友人たちと一緒に意見交換をしながらの観戦は趣のあるものとも感じられた。

 ブラジル全国リーグの最終節の午前中に、サンパウロFCやブラジル代表で活躍したソクラテス氏が逝去したので、全国の会場で試合前の黙とうシーンは同世代の自分としても感傷的になってしまったことを覚えている。ブラジル滞在中に幸運とも思える試合を何試合がTV生中継を観戦できたことは、別の意味で貴重であったとも感じていた。サンパウロFC1982年のワールドカップでブラジル代表を率いた故テレ・サンターナ監督のメモリアル試合についても、友人のオスカー、ジーコが出場したり、敬愛するジノ・サニ氏が監督を務めたりで懐かしく楽しめた。年末には、モルンピー・スタジアムでソクラテス氏の追悼試合をジーコの呼びかけで行われ、現役のネイマールや怪物、ホナウド、アモローゾ始め懐かしい面々のプレーを見られたが、ジーコとソクラテスの実弟、ハイーの技術の高さと駆け引きには時間が戻ったかの楽しさも享受できた。

 そんな折、今月3日から25日まで行われているU-19のコパ・サンパウロ・ジュニオールの話題を多く耳にしていた。ACミラン在籍のホビーニョもサントスFCのネイマールも優勝できなかった大会ではあるが、今回はふたりが在籍して参加したことのあるサントスFC1984年以来の優勝候補となっている。1993,94,95,96年生まれの若手の大会で、今年は96チームが全国から参加している。次代のスーパースターが出現する大会としても知られている。

 今回は、ネイマールの国外への移籍に関する違約金よりも5万ユーロも高く5,000万ユーロと設定されているサントスFCFW、ヴィクトール・アンドラージ・ドス・サントス(Victor Andrade dos Santos)に注目が集まっている。171cm で小柄ではあるが、ブラジルだけではなくヨーロッパのビッグクラブから12歳頃から注目を集めている逸材。現在、16歳でありながら、バルセロナやマンチェスター・シティなどへの移籍流出を防ぐために2014年までのプロ契約をしたばかりである。スピード、テクニックなどは勿論のこと、ミドルシュートの精度が高く、ペレ、ホビーニョ、ネイマールの再来として騒がれていて活躍している。他にも逸材は多くいるものの、17歳のヴァルディヴィア、本名、ワンデルソン・フェフェイラ・ジ・オリヴェイラ(Wanderson Ferreira de Oliveira)が脚光を浴びている。4試合で8得点。ロンドーノポリス(Rondonópolis)MF、北部のマット・グロッソ州で2006年に創立された新興クラブのU-18のカテゴリー所属の選手である。鋭いドリブルと決定力により、パルメイラス所属のヴェネズエラ生まれのチリ代表MF、本家、ヴァルディヴィアを超えるかもしれないポテンシャルを持つと思われ始めた。

 プロとして成功を収めることが目標のブラジルでは、次々と次代の天才が育っている。日本でも、多くの若年層の台頭、出現を期待したいと思う。

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ブラジルでのクラブ・ワールドカップTV観戦」

2011/12/19(月)

 自分は、今、ブラジルに滞在している。友人のジョゼ・オスカー・ベルナルディ氏が経営しているオスカー・インというホテルに滞在中である。自然に恵まれたリゾート地であるサンパウロ州のアーグア・ジ・リンドイアで、ブラジル時間の今朝、同氏と宿泊者の人々とFCバルセロナ対サントスFCの試合を、一緒にTV観戦した。サントスFCのサポーターがいる訳でもないが、ブラジルを代表するサントスを応援する雰囲気は充分に感じての観戦となった。

 しかしながら、バルセロナが演じたサッカーは、サントスを粉砕するに値する至上のクォーリティを魅せ付けた。ブラジル・サッカーが屈辱を感じてしまうように、バルセロナは世界最高の試合を展開した。

 準決勝のアル・サード戦もオスカー氏と観戦していて、バルセロナが演じているワンタッチ、ツウタッチでのポゼンション・サッカーの素晴らしさを痛感していた。決勝戦のサントス戦、多くのブラジル人は悲観的であった。ネイマールという非凡の天才選手はいるものの、全体的には、バルセロナのサッカーには勝てる気がしないという先入観があった。

 結果は、世界中の人々が、バルセロナのポゼションの素晴らしさを実感したに違いない。ブラジル人の落胆ぶりは、言葉では表現し難い。しかし、バルセロナのサッカーに対しては、すべてのブラジル人が称賛し現実を真摯に受け入れている。

 オスカー氏との付き合いは長いのであるが、最近までスカイプで話をしていても、監督としての現場復帰の気持ちは感じていなかった。それが、今般、ブラジルで一緒にいて、同氏は、もう一度、どこかで監督をしたいという欲求が出てきたという。そんな折、ガンバ大阪の次期監督候補として、同氏の名前が日本のジャーナリズムで問いだされていることを知った。確かに、ある日本のスポーツ新聞からの電話取材は受けた。しかし、同氏の目的は、バルセロナのようなポゼッション・サッカーをどこかで指揮したいと思っているようである。それが、日本であるかどうかは別物である。日本の新聞社から問い合わせを受ける以前に、自分は、同氏の意思を聞いていたので、ガンバの話はタイミングが良過ぎたのかと思っている。

 同氏は、サントスの敗戦の戦犯としてガンソをあげている。現在のサッカーでは、テクニックに優れていても、相手をマークする運動量も必要であると力説する。メッシやネイマールは、それを実践していた。しかし、天才肌のガンソは、余りにも運動量が欠如していたと分析している。現在のサッカーでは、運動量の欠如は、チームへの貢献にはならない。

 クラブ・ワールドカップ決勝戦をTV観戦後、ミナス・ジェライス州のモンチ・シオン市、アーグア・ジ・リンドイアからは車で5分程の所であるが、同氏の生まれ故郷でイタリア系移民の子孫である友人たちと、恒例のワインを飲みながらの語り合いに参加した。サントスを愛するある歯科医のサンティスタは、サントスのレプリカに愛着を持って着ていたが、現実に落胆するよりも将来に期待したいと語っていた。

 混沌が常に身近にあるサッカー界ではあるが、バルセロナが魅せたサッカーは安定していて負けない、攻撃的な資質を全世界に知らしめたと思う。

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「ブラジル一人旅」

2011/12/12(月)

  今月初めから、プライベートでのブラジル滞在をし始めた。年明けに帰国するまでの1ヶ月間、ブラジル人の友人たちと親交を深めることを行っている。予定では、ブラジル国内の五つの州を訪ねることになる。ミッションを受けての仕事での旅ではないので、生まれて初めてのリラックスした旅を続けられていて有意義で楽しい。

 122日にリオデジャネイロに入ったが、来季からグレミオでコーチとして活動するアウミール・ドミンゲスの粋な計らいで、6日と7日の二日間、Footecon2011という国際フォーラムに特別に参加できた。現ブラジル代表監督のマノ・メネーゼス、前ブラジル代表監督のカルロス・アルベルト・パフェイラ、現アメリカ合衆国代表監督のユルゲン・クリンスマン、ブラジル選手権を制覇したばかりのコリンチャンスのテチ監督他、ブラジル国内で実績を作り挙げている人々の話を興味深く聞く機会を持てたばかりでなく、多くの新しい友人との関係を構築できた。

 その後、パラナ州の州都、クリチーバ市に移動してきた。ブラジル代表のフィジカルコーチのカルリーニョスとはお互いに存在は知っていたが、初めて直接出会って、長い時間、楽しく談笑もできた。代表スタッフのひとりとして活躍しているが、気さくで紳士な人物で、冗談も含めて2014年のワールドカップやそれまでのこと、そして、ワールドカップ後のことをリラックスして話し合えた。その際、カルリーニョスやアウミールの幼馴染の多くの人々とも親交を温めることができたが、人懐っこく、そして、人をリスペクトする態度と会話の内容や質については、至福の時間であったと思えた。

 今までスカイプなどで多くの時間を費やしてきた友人のひとりに、クリチーバ市のスポーツ委員会のイーロス・マソーゾとも初めての出会いを実現できた。サッカーのみならず、クリチーバ市マラソンを5年間も企画、運営してきた好人物である。当然の如く、2014年のワールドカップ開催に携わることになっている。ブラジル人の多くは、日本、日本人に対して、知られていないかもしれないが、常に深いリスペクトを示している。

 そのようなイーロスに、クリチーバ市を案内してもらった。何代も前からクリチーバっ子のクリチバ―ノ(Curitibano)のプライドとして、自分が生まれ、育ち、そして、多くの幼友達のいるイーロスとしては、自分にクリチーバ市の良さを知って欲しいという熱意を感じずにはいられなかった。彼は、クリチーバ市を熟知していて、そして、クリチーバ市を愛している。彼は、特定のクラブを応援する立場にはいないが、アトレチコ・パラナエンセ、コリチーバFC、パラナ・クルービなどのクラブを誇りにもしている。

 緑が豊富な大都市、クリチーバ市、そして、アウミール、カルリーニョス、イーロス始め、自分が生まれ育った住む場所に誇りと愛着を強く抱き続けている人々と接していて、クラブが地域に密着することとは、このようなことが原点であると改めて感じもしている。その理由のひとつに、今季、ブラジルで最も多くの観客数を集めたクラブが、コリンチャンスでもなくフラメンゴでもなく4部リーグ所属のサンタ・クルスであることからも理解できるものと思う。

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「54,815人」

2011/11/23(水)

  54,815人、1120日に行われたブラジル全国リーク・セリエD(Campeonato Brasileiro Série D)、決勝第2戦の観客数である。会場は、ブラジル北東部のペナンブッコ(Pernambuco)州のヘシーフェ(Recife)市にあるアッフーダ・スタジアム(Estádio Arruda)、キャパシティが6万人程のサンタ・クルス(Santa Cruz)FCのホームスタジアムである。

 ブラジル全国リーグは、1月末から5月初旬までの各州リーグが終了してから行われている。セリエABは、それぞれ、20チームによるノーマルなリーグ戦。セリアC20チームの参加であるが、4ブロックに分けた一次リーグ、2ブロックでの二次リーグ、そして、決勝戦が行われる。セリエDは、2009年から始まった最も新しいリーグであり、今シーズンが3度目の開催となっている。即ち、4部リーグに相当する。

 セリエDの参加チーム数は、408グループに分けられ、5チームでのホームアンドアウェイのリーグ戦を行い、各グループ上位2チームが決勝トーナメントに進出し、R16からもホームアンドアウェイで行われる。セリエABCJリーグ最終節と同時期に終了するが、セリエDは、2カ月程遅れて開幕し、1120日が最終戦であった。

 決勝戦は、サンタ・クルスFCとミナス・ジェライス(Minas Gerais)州のジュイース・ジ・フォーラ(Juiz de Fora)市にあるトゥピ(Tupi)FC、どちらも1913 1912年創立の歴史あるクラブ同士の対戦。第1戦は、トゥピFCがホームで10と勝利しており、ホームに迎えるサンタ・クルスFCのサポーター、ファンを含めてヘシーフェ市は盛り上がった。試合の三日前で、前売り券の売り上げが32,100枚と公表されていたので、どのような結果になるものか興味を抱いていた。

 試合は、アウェイチームのトゥピFCが第2戦も20で勝ち、初優勝を成し遂げた。サンタ・クルスFCは準優勝ではあるが、来シーズンのセリエCへの昇格を果たした。そして、結果とは別に驚かされたことが観客数。ほぼ満員の54,815人の大観衆が、スタジアムに詰めかけたことであった。言い換えれば、4部リーグの決勝、全国で61位と62位のクラブ順位決定戦でもあるとも思えたからである。

 2011シーズンのセリエDの各クラブの1試合の平均観客数も発表されており、ホームスタジアムのキャパが4,000人、5,000人、10,000人前後のクラブも多いこともあり、平均観客数が100人台のクラブもあった。そうした中で、サンタ・クルスFCは、驚異的に最高の37,869人を1試合の平均観客数として集めた。しかも、決勝戦を含むホームゲームの試合数は16でありながら、半数の8試合のそれぞれで25,000人以上の集客を記録したのである。優勝がかかった試合に、54,815人もの観客がスタジアムに集結することは意外でもなく、至極普通の成行きであったことが分かった。目下、セリエAも残り2試合、Jリーグと同じ。コリンチャンスの勝ち点67とヴァスコ・ダ・ガマの勝ち点65のタイトル争いは、柏レイソルと名古屋グランパスの覇権争いに似ているようにも感じる。Jリーグも残り2節、多くの観衆でスタジアムが埋め尽くされることを期待したい。

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「バルセルーザ、Barcelusa」

2011/11/09(水)

 119日、今朝、ブラジル人の友人とスカイプで話をしていた最中、ポルトゲーザ・ルーザ(Portuguesa Lusa, Associação Portuguesa de Desportes)のブラジル全国リーグセリエBの優勝が決まった。ブラジル在住のブラジル人は、サッカー関係者。TVで観戦していながら、僕と会話をしていたのである。ポルトゲーザ・ルーザは、来季、セリエAでの参戦が既に決定していたが、優勝することで華を飾ったということが言えると思う。

 ブラジルでは、多くの名門クラブがあり、そのことは、日本でも知られている。サンパウロ州に限っては、コリンチャンス、サンパウロFC、パルメイラス、サントスFCなどが著名であるが、5大クラブとしてポルトゲーザ・ルーザも伝統あるクラブとして認識されている。前者の4クラブには遠く及ばず、大きな成功を収めることができなかったが。

 残り3試合のセリエBで優勝を決めたことには、大きな理由があった。攻撃的な戦術を、ジョルジーニョ(Jorge Luís da Silva)監督のもとで継続し続けたことにある。バルセルーザ(Barcelusa)のニックネームで圧倒的な強さを見せたのは、本家本元、スペインのFCバルセロナを連想させるものがあった。12得点のEdno11得点のAnarias10得点のHenrique

それは、メッシを始めとするバルセロナと類似した攻撃力の凄さを発揮し続けている。恐れることなく攻撃に力を注いだジョルジーニョ監督は、選手時代、ポルトゲーザ・ルーザのアイドルとして活躍した存在でもある。いくつかのクラブでプレーを続けた経緯はあるが、グァルディオラ・バルセロナ監督と被る意識を持つファン、サポーターも多いに違いないと思ってしまった。

 僕自身、ポルトゲーザ・ルーザのトレーニングセンターやスタジアムのカニンデ(Canindé)には多く訪ねたことがある。カニンデは、西京極陸上競技場のような雰囲気にも似た印象があり、大きくもなく近代的でもない。1920年創立のクラブは、大きなタイトルを取れずに今日に至っている。そのポルトゲーザ・ルーザのマスコットが、実は、ライオンである。今、なでしこリーグの初優勝が間近となったINAC神戸レオネッサも、ライオンというイタリア語がチームネームとなっていることを知っている。もしかすると、今年はウサギ年ではなくライオンの年であるのかもしれないと幼児的な連想をもしてしまっている。

 カニンデには、大観衆が詰めかけた。歓喜の一瞬に遭遇するためである。ブラジル全国リーグ・セリエAも、佳境に入っている。残り5試合。勝ち点3差の中に、コリンチャンス、ヴァスコ、フルミネンセ、ボタフォゴ、フラメンゴがタイトル争いとコパ・リべルタドーレスの出場権を争っている。先日、フラメンゴは、入場料を減額してまでもファンやサポーターの応援を呼び掛けた。クルゼイロ戦、4万近くの観客を集め、快勝してタイトル争いに踏みとどまった。

 J1昇格が見えてきたサガン鳥栖、初優勝が目前のINAC神戸でも、ホームスタジアムに1万人以上の観客が観戦した。面白く攻撃的なサッカーを展開し実績を作りつつあるクラブに、ファンは自然と興味を抱くものが普遍なものと再認識させられている。サムライブルーも、タジキスタン戦、北朝鮮戦での結果次第では、潜在的なサッカー・ファンをより多大なものにして欲しいと思う昨今である。

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