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懐かしく応援

2010/06/29(火)

  日本代表の快進撃に、胸が高まる至福を感じながらワールドカップを楽しんでいる。グループリーグは終わってしまい、間もなく準々決勝を迎える。サムライブルーが準々決勝に進出できるのか、そしてスペインポルトガルと対戦できるのか等など興味は益々大きくなる。

  僕は、南アフリカ大会で個人的に特別な関心を抱いてくる国が三つあった。ブラジルアルゼンチンオランダといった優勝候補の国々や。もちろん日本、そして隣国の韓国への興味は当然あるものの、それとは異なった意味で親近感を抱いている監督が率いる国だ。そしてその監督たちは、いずれも僕が浦和レッズに所属していた時代に出会った監督である。

  まず最初に紹介したいのはポルトガルの監督、カルロス・ケイロス氏。現在、この原稿を執筆している段階では神のみぞ知ることではあるけれど、準々決勝で日本とポルトガルが対戦することに期待したいと思っている。
 彼が名古屋グランパスの監督として来日する以前、僕は、ポルトガルで浦和レッズのプレシーズン合宿をアレンジしたことがある。ポルトガル滞在中のメインイベントは、フィーゴも出場したスポルティング・リスボンとの親善試合であった。そして当時、スポルティング・リスボンの監督だったのがカルロス・ケイロス氏だ。試合当日、エスタジオ・ジョゼ・アルバラーデには数千人の観客が集まってくれた。記憶では、試合は3-1で浦和レッズが負けた。
 この試合には、スポルティング・リスボンは特別な意味を持たせていた。国際親善試合としてだけではなく、入場料を麻薬撲滅運動の組織に寄付するという目的を持っていたのである。その目的の高尚さに相応しく、爽やかな雰囲気の試合であったことを記憶している。
 それが縁で僕は、カルロス・ケイロス氏と親しくなり、そして、会長などクラブ幹部とも、その後も交流を重ねた。その後、リスボンへは数回訪れることにもなったほどである。
 カルロス・ケイロス氏が率い、クリスチャーノ・ロナウドを擁して初優勝を狙うポルトガル代表と日本代表が戦えることになれば、これも、また、至福であると思わずにはいられない。

  また、グループ・ステージで善戦しながら南アフリカを既に離れてしまったスイス代表。この国の監督、オットマール・ヒッツフェルト氏も懐かしい人物である。同氏がボルシア・ドルトムント監督時代に、付き合いがあった。
 僕は上司と、新戦力となり得る選手をスカウティングするために長期に渡り、ヨーロッパの国々を訪ねていた。ドルトムントとユーヴェントスのUEFAチャンピオンズ・カップ準々決勝の試合をウェストファーレン・シュタジオンで観戦した。そして翌日、僕らはヒッツフェルト監督と会う約束をしていた。物静かで聡明そうな同氏に対して僕は、極めてストレートに、ある選手を「貸して下さい」とお願いをしてしまった。その選手は、レギュラーを期待されていた点取り屋であったが、同氏の紳士の振る舞いで、軽く僕らの要望はかわされてしまった。今回のスイス代表が見せた堅守のごとく、僕らは攻め手を失ってしまったことが思い出される。

  イングランド代表は、不運な判定もありドイツに敗れてしまった。ファビオ・カッペッロ監督とは、同氏がACミランの監督をしていた時に出会った。独りでミラノに滞在し、ACミラン幹部とある交渉をしていた時のことである。
 試合前日、練習場のあるミラネッロを訪ねた。マルディーニ、アルベルティーニ、ボバン、バレージなど錚々たるメンバーを取り揃えていた時代だ。練習後、カッペッロ氏は、記者会見を後回しにしてまでして僕を昼食に誘ってくれた。その時食べたチーズをメインにしたリゾットと白ワインは、僕にとって今までで一番美味しい食事のひとつとして記憶されている。

  これら三人の監督は、共通して僕にリスペクトと優しさを示してくれた。三監督の今後の活躍を祈りつつ、南アフリカからテレビで見る彼らとの出会いを懐かしく感じてしまった。

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