頭の中のテクニック
ワールドカップも、佳境に入った。ベスト4が決定して、期待感と寂寥感が交錯する時期を迎えているように思えてならない。日本代表に付き合っていた熱い日々が過ぎ去り、そして、もっと観たいと思うチームや選手が南アフリカを離れなければならない結果に接しているからであると思う。ブラジルやアルゼンチン、ホビーニョやメッシなどをもっと観たかったと思う人々は多いのではと恣意的に思っている。
ドゥンガもマラドーナも、初めての監督経験が代表チームであった。ふたりとも、マリオ・ザガロとフランツ・ベッケンバウアーに次いで、三人目の選手と監督としてのワールドカップ優勝を狙っていたと思うのであるが。ふたりとも、現役時代の価値観に頑固なまでに拘って監督業を遂行したものと思う。ドゥンガは、規律と組織を重要視し、マラドーナは、あくまでも個人能力を尊重していたと思う。ブラジルは、ブラジルらしくないと批判され続けた。選手選考も、他にあるのではと、ドゥンガ人気は低調であった。マラドーナは、戦術を知らないのではとも揶揄されていた。しかし、ブラジルは参加国の中で最もバランスの取れた優れたチームであったと思うし、アルゼンチンは最も攻撃的なチームであったと思う。
僕がヨーロッパにしばしば出かけていた時代、20年近く前、特別、印象に残ることばを聞いて忘れられないことがある。あるドイツ人監督から、聞いたことばである。「ドイツ人選手は、ボール・テクニックではブラジル人選手には敵わない。しかし、ドイツには”頭の中にテクニック”がある。だから、試合の結果は解らないよ。」
アルゼンチン代表に勝ったドイツ代表を観ていて、このことばが頭から離れない自分がいる。ダイレクトでパスを繋ぐ、それも、スピードに乗って。テクニックは個々の選手が見せるものであると同時に、チームにも集合体としてのテクニックが存在することをヨアヒム・レーヴ監督は示したものと受け止めている。
さて、準決勝を別の観点から観てみたいと思うようになった。元々、今大会はヨーロッパの各国リーグでプレーする選手たちが代表チームの一員として愛国心を示す機会であると思っていた。それぞれの代表チームには、クラブではチームメートである選手たちが散らばっている。GKを含めたブラジルのDF陣は、インテルナチョナーレ(インター・ミラノ)のチームメートのシュナイデルの得点を防ぐことはできなかった。
決勝に進出するチームがどの国になるのかは、解らない。そうした中、僕は、何故かドイツ代表が気になって仕方がない。理由は、単純でたったひとつ。ドイツ代表の23選手がすべて同一リーグでプレーしている点である。即ち、ブンデスリーガ。レーヴ監督が前回のドイツ大会で代表コーチであったこと、準決勝は出場停止となってしまったがトーマス・ミューラーやエジルなどの若手選手の台頭、チームの統一感に注目してみたいと思う。
しかし、結果は神のみぞ知ることを忘れずに残り4試合を楽しみたいと思う。
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コメント
また近いうちにご飯に行きましょう!
準決勝観戦記も楽しみにしています!
決勝カード
ドイツ×オランダ
スペイン×オランダ
ウルグアイ×スペイン
ウルグアイ×ドイツ
どれも楽しみです!
どこが勝つかは、まさしく Nobody knows ですね!
投稿: ヤンピン | 2010年7月 5日 (月) 13時26分