「親日家」
昨今、オーストラリア代表監督としてホルガー・オジェック氏が就任した。オジェック氏は、二度、浦和レッズの監督を務めたが、最初に監督として招聘するために交渉し契約した時のこと、一緒に活動していた時のことが思い出された。当時、浦和レッズを強くするために年少の僕は、強烈にオジェック氏と議論を重ね、結局は価値観を一致できることになった。
オジェック氏は、DFB(ドイツ・サッカー連盟)のコーチングスクールを未だに破られていない高得点でライセンスを獲得したと聞いている。いかつい顔で怖いと思う人もいるとは思うことはあるが、実は、芯は優しい人物だ。同氏の評価はいろいろと分かれると思うけれど、クラブチームよりも代表チームの指揮を執る方が能力を発揮するように思えてならない。1990年のイタリア・ワールドカップで、ドイツは優勝を成し遂げた。監督はフランツ・ベッケンバウアー氏であったが、参謀格のオジェック氏の貢献度は計り知れないものと思っている。同氏は、カナダ代表をCONCACAF(北中米カリブ海サッカー連盟)Gold Cupでアメリカ合衆国やメキシコと争いタイトルを獲らせ2001年に日本で開催されたコンフェデレーションズカップに出場させている。今般、同氏は三度目の代表チームに関わることになった。サッカールーズ(Soccerroos)、オーストラリア代表を率いて、来年のアジア・カップ優勝、2014年のブラジル・ワールドカップ、そして、その前年のコンフェデレーションズカップへの出場をターゲットにしている筈だ。
サッカールーズの多くの選手たちは、ヨーロッパのクラブでプレーしている。経験も環境も、日本よりは先を進んでいる。これらの選手を使いこなすことができれば、かなり強いチームを作れるものと推察している。僕は、個人的にも同氏との付き合いが深い。とてつもなく、拘りを持つ人だと思っている。”頑固”な面がネガティブに報道されてしまうこともあるが、計算された施術を実践するタイプであると思っている。
同氏は、日本食と日本文化に極めて造詣が深い。一度、両国の国技館に相撲を観戦に行ったことがあった。日本人の僕に、同氏は力士の特徴や取り組みの予想を教えてくれていた程、”大の相撲ファン”であって、贔屓の力士もいた程だ。そして、日本食にも目がなかった。外国人にありがちな当たり一片のお寿司とかしゃぶしゃぶという類の趣向ではなく、豆腐料理に執心していた。同氏がカナダ代表監督時代、エリザベート夫人とモントリオール市に在住していた時のことをよく聞かされた。豆腐好きの同氏のために、夫人は食材をスーパーマーケットで手に入れてしばしば豆腐を作っていたというのだ。僕には、豆腐の作り方など知らないし作れる術も持ち合わせていない。ドイツ人夫婦が協力して、モントリオールで豆腐作りをし食を堪能していることを聞いて驚かされたことを思い出した。オジェック氏が、拘ってサッカールーズを指揮することに興味を抱くとともに、日本やアジアを良く知る同氏のチーム作りは日本や韓国のライバルとして大きく立ちはだかるものと敬意を表したい。
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