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2010年9月

「意外なこと」

2010/09/30(木)

 東京で久し振りに、親友と会った。僕と同様、浦和で生まれ育ち、そして、今も浦和に在住の稲さんこと稲垣隆正氏。僕と同い年で妙に気が合うので、付き合いは深く長くなっている。サッカー界の人ではないので、サッカー談議ばかりしてきた訳ではなかったのに、会話が進むと彼から思いがけない話を聞くことになった。

 「俺、今まで話したことないけれど、実は、ジャンフランコ・ゾラ(Gianfranco Zora)の大ファンなんだよね。」今まで、僕からサッカーについては色々な話を聞いている一方の彼からゾラの名前が出てくること自体に驚かされた。聞いていると、十数年前、イタリアへ旅行した時にゾラの存在が著しく大きくなったという。ゾラがマラドーナやカレッカなどとナポリでプレーをし、頭角を現した後にパルマに在籍していた時代、ゾラの存在感は同じポジションのライバル、ロベルト・バッジオと比較されるほど素晴らしいパフォーマンスを見せていた。

 ゾラは、その後、パルマからインクランドのチェルシーに移籍したが、僕の親友は、ロンドンのスタンフォード・ブリッジまで出掛けたとのことだった。「ゾラのプレー、得点が見たくてさ、俺、ゴール裏の席で試合を観戦したんだ。」余りにも、意外な発言であった。Jリーグの試合もスタジアムで観戦しないし、多趣味な彼は好きな音楽の話ばかりしていたからである。通常は、僕が選手の特徴や素晴らしさ、サッカーの蘊蓄を語っていたのに、この時ばかりは、彼は目を輝かせながらゾラの偉大さを僕に話し続けていた。僕もゾラの非凡な才能を知っていて好きであったのであったが、彼のゾラへの想いを感じて、素直に聞き手になっていた。

 昨今、僕は、香川真司と横山久美のふたりの選手のパフォーマンスの素晴らしさに興味をそそられている。以前、ボルシア・ドルトムントを訪ねた時、クラブ関係者から招待されて試合を観戦したことがある。75,000人ほどの大観衆は、独特の雰囲気を醸し出していた。その後、ヴェルディ時代に契約したマルシオ・アモローゾ・ドス・サントスがイタリアでプレーした後、ボルシア・ドルトムントに移籍しブンデスリーガの得点王になったこともあり、僕にとっても親近感のあるクラブのひとつになってもいた。香川選手の活躍ぶりは、よりドルトムントを身近に感じさせてくれるだけではなく、今後の香川選手への期待で楽しみでならない。一方、U17の女子ワールドカップでの横山選手の5人抜きのドリブル、ゴールには、正直驚かされた。マラドーナやメッシを彷彿とさせるプレーは圧巻で、今後も、注目し続けたいと思っている。

僕の親友が大好きだというゾラは、イタリアとイングランドのクラブでの実績として599試合に出場して222得点。その得点能力は、凄まじいものであった。トップ下のポジションからドリブルや裏に抜けての得点も素晴らしさもさることながら、FKのスペシャリストとしては、当時、世界最高とも称賛された選手であった。ゾラのように香川、横山両選手が輝き始めて、今後の若い選手たちの台頭を大いに期待したいと思う人々は多いと思う。

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「親しみ」

2010/09/20(月)

 先日、神戸スポーツアカデミーの懇親会に参加させて頂いた。フットサル仲間がより良く知り合おうという趣旨で、水曜日コースと木曜日コースの人々が集まった。女性も多く参加して、サッカー談議に楽しい時間が流れていた。

 多くの人がサッカーをするのは大人になってからというものの、技術も戦術もアップしていて、楽しくボールに触れている情景が爽やかなものと感じていた。そして、様々な人々が集まっているが、フットサルを通じて共通の話題で気持ちが繋がっているとの印象を持てた。幹事を務めた税理士の大高さんの尽力で盛り上がった懇親会は、定年退職をして稲作を楽しんでいる杉本さんも参加。先日、稲刈りが終わって収穫した制作品を購入することができるという僕にとっては素晴らしい体験もすることになった。歯科医師の大角(おおかど)先生は、治療時間の関係からフットサルへの参加は途中からであるものの楽しんでいる。奥様の実家が農家であったことから、驚くほどに稲作の実情を教えて頂いた。先生は、僕のサッカー半生を描いたマリオネット(文藝春秋社刊行、山岡淳一郎著)”をインターネットで通して購入、読んで下さるという。杉本さんの生産したお米も、サッカーを通じて共通の話題となって、とても楽しい時間を過ごさせて頂いた。気持ちが通じることは、とても素晴らしいことであることを再認識させられた。そして、フットサルを楽しんでいる人たちすべてが、ヴィッセル神戸のファンであることも知った。毎試合、スタジアムで応援しているそうだ。

 この懇親会の四日後、僕は、久し振りにワダボンと食事を共にした。ヴィッセル神戸の和田昌裕新監督である。お互い、ライバルチームに所属していた年数の方が長いのに、クラブメートとして四年間で、サッカー観が類似していることを感じていた。今まで、僕は、ホテルでのツインという体験が余りなかった。ところが、不思議なことであるが、ワダボンとは海外での活動で同室になることが何度かあった。心を許せるような会話は、必然的に深くなり、親近感とリスペクトし合える関係が構築できたと思っている。

 監督としてサンフレッチェ広島戦を迎える四日前の会食の際、ワダボンは厳しい状況は熟知していてもチームの再生を熱く語ってくれた。同意することは、多々、あった。選手とのコミュニケーションには、自信がありますよ。 とワダボンは語っていた。それは、僕も知っていること。一朝一夕にチームが再生できるほど甘くはないと思いつつも、ワダボンは変化をもたらしつつあると思っている。お互いがリスペクトしつつ信頼しつつ、信じることを継続していくこと。今の和田ヴィッセルは、それしかないと思っている。戦術のセンスは持っているし引き出しも、多いと思っている。経験が浅いという意見も、耳にすることもある。しかし、今、監督としてスタートを切ったばかりである。神戸で知り合った素敵な人々とともに、ワダボンを応援したいと思えてならない。

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「年に一度」

2010/09/06(月)

昨日、日曜日、僕は朝から、神戸市北区のしあわせの村にいた。友人の加藤寛氏から、全国から身体の不自由な人たちが集まってサッカーの試合を行うので観てみないかと誘われたからである。兵庫県サッカー協会副会長の高見豊氏とともに観戦させて頂いた。上述の両氏や他の関係されている方々から、色々と説明を受けた。

 FESPIC Games (Far East and South Pacific Games for the Disabled、極東・南太平洋身体障害者スポーツ大会)が、1989年に神戸市で開催されてから、サッカーに関しては、震災の年を除いて21年間も継続しているものと伺った。関東や九州からも参加された障害を抱えた選手たちは、年に一度のしあわせの村での試合を楽しみにしていることも伺った。

21年前から参加している選手もいれば、この年に一度の試合でボランティアの方と知り合って、その後に結婚され、お子さんと参加されている選手もいることを知らされた。

 杖をつきながらピッチに立つ選手もいれば、腕を失った選手も多々いた。この年に一度のために集結した障害を持つチームは、言わば寄せ集め的にもかかわらずチームワークが素晴らしい。ポジションの要求もチームメート同士で言い合いながらも、楽しそうにボールに触れる情景に自然に惹き込まれてしまっていた。対戦チームは、鵯台のママさんチーム、”VANVEIL”。それぞれの少女時代にサッカーと出会い、ママさんになった今でもチームを作りプレーを続けていると聞いた。試合は、僅差を争う好ゲームであった。僕には、両袖から腕を見られなかった選手の華麗なボールさばきや強烈なシュートを打つ選手の力強さ、俊敏なファインセーブを見せたGKなど、大いに試合を楽しませて頂いた。

 この年に一度の試合を知って、ブラジル人の友人に話してみた。彼も、初めて観た時は驚いたそうである。片足がない選手は、延々と左足だけでリフティングで妙技を披露していたとのこと。そして、ブラジルでは、障害を抱えた人々のサッカー全国大会も開催されていると聞いた。サッカーは工夫すれば、どのような人々にもできるスポーツであることを再認識した。

 友人と話していて、今、ブラジルでは、サンパウロ市にあるSC CORINTHIANS(スポーツクラブ・コリンチャンス)91日で創立100周年を迎えて色々と盛り上がりを見せているとの話題になった。イギリスの軍艦、コリンチャンスの乗組員がCORINTHIANS TEAMとしてブラジルで多くの試合で圧倒的な強さを見せた時代に、その名からCORINTHIANSと名付けたクラブである。僕も、何度も訪ねたクラブであるので親近感もある。現在、2014年のブラジル・ワールドカップで開幕戦を行えるように、新しいスタジアム建設構想も盛り上げのひとつとなっている。

 前述の加藤寛氏が主宰している今年、設立したKOBE SPORTS ACADEMYがエンブレムを作ることになった。デザインを見せて貰った。舵輪をモチーフにしている。コリンチャンスは、をモチーフにして100年の歴史が過ぎ去っている。それぞれが、今後も歴史を作っていくはずであると感じながら、継続は力なり、また機会があれば、年に一度の選手たちの試合も観たいと率直に思えた。

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