「意外なこと」
東京で久し振りに、親友と会った。僕と同様、浦和で生まれ育ち、そして、今も浦和に在住の”稲さん”こと稲垣隆正氏。僕と同い年で妙に気が合うので、付き合いは深く長くなっている。サッカー界の人ではないので、サッカー談議ばかりしてきた訳ではなかったのに、会話が進むと彼から思いがけない話を聞くことになった。
「俺、今まで話したことないけれど、実は、ジャンフランコ・ゾラ(Gianfranco Zora)の大ファンなんだよね。」今まで、僕からサッカーについては色々な話を聞いている一方の彼からゾラの名前が出てくること自体に驚かされた。聞いていると、十数年前、イタリアへ旅行した時にゾラの存在が著しく大きくなったという。ゾラがマラドーナやカレッカなどとナポリでプレーをし、頭角を現した後にパルマに在籍していた時代、ゾラの存在感は同じポジションのライバル、ロベルト・バッジオと比較されるほど素晴らしいパフォーマンスを見せていた。
ゾラは、その後、パルマからインクランドのチェルシーに移籍したが、僕の親友は、ロンドンのスタンフォード・ブリッジまで出掛けたとのことだった。「ゾラのプレー、得点が見たくてさ、俺、ゴール裏の席で試合を観戦したんだ。」余りにも、意外な発言であった。Jリーグの試合もスタジアムで観戦しないし、多趣味な彼は好きな音楽の話ばかりしていたからである。通常は、僕が選手の特徴や素晴らしさ、サッカーの蘊蓄を語っていたのに、この時ばかりは、彼は目を輝かせながらゾラの偉大さを僕に話し続けていた。僕もゾラの非凡な才能を知っていて好きであったのであったが、彼のゾラへの想いを感じて、素直に聞き手になっていた。
昨今、僕は、香川真司と横山久美のふたりの選手のパフォーマンスの素晴らしさに興味をそそられている。以前、ボルシア・ドルトムントを訪ねた時、クラブ関係者から招待されて試合を観戦したことがある。75,000人ほどの大観衆は、独特の雰囲気を醸し出していた。その後、ヴェルディ時代に契約したマルシオ・アモローゾ・ドス・サントスがイタリアでプレーした後、ボルシア・ドルトムントに移籍しブンデスリーガの得点王になったこともあり、僕にとっても親近感のあるクラブのひとつになってもいた。香川選手の活躍ぶりは、よりドルトムントを身近に感じさせてくれるだけではなく、今後の香川選手への期待で楽しみでならない。一方、U17の女子ワールドカップでの横山選手の5人抜きのドリブル、ゴールには、正直驚かされた。マラドーナやメッシを彷彿とさせるプレーは圧巻で、今後も、注目し続けたいと思っている。
僕の親友が大好きだというゾラは、イタリアとイングランドのクラブでの実績として599試合に出場して222得点。その得点能力は、凄まじいものであった。トップ下のポジションからドリブルや裏に抜けての得点も素晴らしさもさることながら、FKのスペシャリストとしては、当時、世界最高とも称賛された選手であった。ゾラのように香川、横山両選手が輝き始めて、今後の若い選手たちの台頭を大いに期待したいと思う人々は多いと思う。
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