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「コパ・アメリカ開幕」

2011/07/02(土)

  アルゼンチンで開催されているコパ・アメリカが、地元の大きな期待を受けてアルゼンチンがボリビアと対戦した。初戦ということで、流石のアルゼンチンも引き分けに持ち込むことが精一杯であった印象である。メッシが目立たない。南米のメディアは、これがメッシかという論調が主流である。確かに、サネッティの胸パスからのアグエロのボレーシュートによるゴールは美しかったが。結果に満足はできないかもしれないが、アルゼンチンは決勝トーナメントには進出することは間違いないと思う。

 ボリビアの堅守と大健闘は、称賛に値するものと思う。そして、ゴールを挙げたロハス(エジバルド・ロハス・エルモーサ、Edivaldo Rojas Hermoza)に、ボリビア人選手とは異なった感性を抱いた。ロハスは、ポルトガルの一部リーグのナバル(Naval)でプレーしているボリビア国籍の選手である。ブラジル生まれでアトレチコ・パラナエンセからキャリアをスタートしたが、母親がボリビア人ということもあって今年、帰化してボリビア代表入りした。アルゼンチン戦で、ロハスは4試合で2得点とボリビア代表に貢献している。そして、面白いことに、ロハスが所属するナバルの監督がフラメンゴやベンフィカ、セレソンで活躍し鹿島アントラーズでプレーしたことのあるモゼール(Mozer)であることも興味深い。

 ブラジルのメディアは、本来ブラジル人のロハスの活躍を大きく報道している。ボリビアがアルゼンチンを破壊したヒーローのひとりとして、称えている。

 友人で、現在、リオデジャネイロのボタフォゴのコーチをしているアウミール(Almir domiguez )としばしば交信をしている。彼はコパ・アメリカの優勝候補として、アルゼンチンが45%、ブラジルが35%、ウルグアイとパラグアイで20%と、僕と話をしていて意見を伝えてくれた。僕も似たような予想である。ブラジル代表、セレソンの監督、マーノ・メネゼスもアルゼンチンを優勝候補の筆頭に挙げていることも、妥当な見解であると思う。

 アルゼンチンが調子を上げてきて、ブラジルやウルグアイとのタイトル争いに興味は尽きないが、僕はタイトル争いとは別にメキシコに関心も高い。先のゴールドカップで6度目の優勝を飾って日本代表も出場するコンフェデレーションカップの出場権を得ているからである。チーム内に問題もあり、U22を主体のチームにコパ・アメリカでの期待は小さいかもしれないが。

 ところが、コパ・アメリカによって最も被害を受けているチームが存在している。ブラジルのサントスFC。コパ・リべルタドーレスを48年振りに獲得し、今冬のクラブ・ワールドカップ決勝でバルセロナと対戦できると信じているが、多くの選手のヨーロッパへの流出、コパ・アメリカにネイマール、ガンソ、エラーノを送り出していて困窮し始めた。コパ・アメリカ後も、FIFA U-20 ワールドカップにベンフィカに移籍予定のダニーロたち3選手が代表に召集されることになっている。ベストメンバーを組めずにブラジル選手権(Campeonato Brasileiro Seria A)を戦うムリシー・ハマーリョ監督には、頭の痛い深刻な問題となっている。シーズン真っ最中のブラジルにとっては、コパ・アメリカが特定のクラブに打撃を受けさせている。

 いずれにしても、組織、戦術は当然としても、個の力で勝負が決まるケースも多い南米の大会には目を離せない。FIFA U-17ワールドカップ、女子のワールドカップの日本代表の快進撃とともに、コパ・アメリカを大いに楽しみたいと思う。

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