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2011年9月

「コパ・ロカ第2戦とその後」

2011/09/24(土)

914日のコパ・ロカ第1戦は、周知の通り、無得点の引き分けに終わっている。ブラジル代表もアルゼンチン代表も、両国でプレーしている選手のみの召集である故、一般的には知名度が高い選手は少なかった。試合内容も凡戦といっても良い程で、おとなしく勝負を競うものではなかった印象が強い。

 見どころは、ネイマールが際立ったポテンシャルの高さとレアンドロ・ダミアンのランブレッタ(Lambreta)しかなかった。アルゼンチンのコルドバ市、マリオ・アルベルト・ケンぺス・スタジアムで、代表を率いて1年程のセレソンのマーノ・メネーゼス監督にとっては、親善大会であっても初のタイトル獲得を目指す意味ではアウェイでの引き分けは第2戦へのアドバンテージを得ていると思われる。第2戦は、パラー州のベレンで928日に行われる。

不思議なことに、ベレンには両国代表が呉越同舟ではないが、リオデジャネイロの空港から同じ航空便に搭乗することも情報として流れていて、至ってフレンドリーであると思わされる。

 メネーゼス監督は、22日、コパ・ロカ第2戦の代表メンバーと107日のコスタリカ戦、11日のメキシコ戦との親善試合のメンバーを発表した。2014年の自国開催のワールドカップの準備試合とコパ・ロカとの重要度は異なるので、メンバーは大いに異なる。コパ・ロカのアルゼンチン戦には、やはり多くのオリンピック世代の選手が召集されているが、コスタリカ、メキシコでのアウェイの試合には国外組が中心となっている。

 コパ・ロカ用の代表には、初めて選抜された選手が3名いる。その中に、ふたりの選手に興味を感じている。エウケソン(Elkeson)、好調なボタフォゴの攻撃的MFとしてチームを上昇させている22才になったばかりの若手。ゴール前に入り得点を挙げるポジショニングも良いが、豪快なミドル、ロングのシュートは左右両足から狙えて素晴らしい能力を発揮している。もしかすると、エウケソンは2014年に生き残る素材かもしれない。もうひとりは、2006年にベガルタ仙台でもプレーしていたボルジェス(Borges)。もう直ぐ31才になるが、代表入りを熱望し2014年を目指したいとメディアにも豪語している。176cmと大柄ではないが、特異な得点感覚で、今季、ブラジル全国リーグで現在まで21試合出場で18得点と驚異的なゴールを量産し得点王争いを断トツにリードしている。このふたりの初代表選手が、どのようなパフォーマンスを見せるかに興味深く感じてならない。

 そして、負傷中のサントスFCのガンソは観られないが、セレソンのエースとなったネイマール、18才のサンパウロFCのルーカス、20才になったばかりでコパ・ロカで代表デビューを飾ったインテルナショナウのオスカールは、コスタリカ、メキシコとの親善試合にもメンバー入りしている。オスカールの視野の広さ、キックの精度、テクニシャンの21才のガンソを含め、これら攻撃的な4選手は、2014年の代表チームの中心になっていると思えてならない。

 一方、アルゼンチンは、コパ・ロカ後、ワールドカップ予選を戦うことになっている。チリとヴェネズエラとの予選が控えている。ワールドカップ予選では国外組を召集して戦うアルゼンチンにとっては、国内組で挑むブラジル戦は意味の薄いものとなっているように感じてならない。

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「コパ・ロカ」

2011/09/07(水)

 馴染みのないカップではあるけれど、面白いSupercalassico(スーペル・クラシコ)が復活した。Copa Roca(コパ・ロカ)AFA(アルゼンチン・サッカー協会)CBF(ブラジル・サッカー連盟)が協議して、1914年に始まった代表チーム同士の国際親善カップである。アルゼンチンが軍事政権時代のロカ大統領の名を付けたカップ戦であると聞いている。1976年を最後にコパ・ロカは中断していたが、35年振りに復活した。

 ホーム・アンド・アウェイで行われるコパ・ロカは、第一戦がアルゼンチンのコルドバで914日、第二戦が北部ブラジルのアマゾン地域のパラー州のベレンで同月28日に行われる。今回、12回目のカップ戦となるが、両国優勝が一度あり、ブラジルが8回、アルゼンチンが4回の優勝という歴史がある。 

 今回は、国外の選手を召集できないため、両国とも国内の選手でチームを編成する。アルゼンチン代表新監督のアレハンドロ・サベージャは、ベテランのマラドーナ元監督と反目していたリケルメを久し振りに、そして、ヴェーロンを召集して挑む。一方のブラジル代表監督のマーノ・メネゼスは、オリンピック代表世代の選手、9名を選抜した。そして、先のロンドンで行われた国際親善試合、ガーナ戦にドゥンガ前監督に召集されなかったホナウジーニョ・ガウーショをフル出場させ、そのポテンシャルの高さを評価し今回も選抜している。

 セレソンに選ばれたオリンピック世代の選手の大半は、当然の如く、コロンビアで行われたFIFAU-20ワールドカップで優勝したメンバーも含まれている。フル代表に選ばれていてU-20の今大会に不参加であったサントスFCのネイマールやサンパウロFCのルーカスとともに、サントスFCのダニーロやサンパウロFCのカゼミーロも選抜された。その中で、注目に値する選手のひとりに、インテルナショナウのオスカール(Oscar dos Santos Emboaba )がいる。初めてセレソンに選出された。先のFIFA U-20の決勝でポルトガルとの決勝戦でハットトリックを成し遂げた選手である。テクニックは申し分なく、とりわけ、キックの精度の著しく高い能力を発揮している。既に、バルセロナFCやパリ・サンジェルマンなどのヨーロッパの強豪クラブの獲得リストに上っている20才になったばかりの攻撃的なMFである。

 8月、スペインのスーベル・コパでのレアル・マドリッド戦、UEFAスーパーカップのFCポルト戦のFCバルセロナをテレビではあるけれど観ていて、異次元のサッカーを再び感じていた。なでしこジャパンがオリンピック予選で健闘し、サムライブルーはワールド カップ予選で苦闘しているが、結果を残しつつある。川澄や清武のように、素晴らしい素材の成長も好ましい。

 ブラジルでは、ネイマールとガンソがクラブ・ワールドカップでFCバルセロナとの戦いを熱望してヨーロッパのクラブへの移籍を来年以降に保留している。サンパウロFCのルーカスとともに、出場機会があるのであれば、オスカールのコパ・ロカでのパフォーマンスも楽しみのひとつである。

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