自分は、今、ブラジルに滞在している。友人のジョゼ・オスカー・ベルナルディ氏が経営しているオスカー・インというホテルに滞在中である。自然に恵まれたリゾート地であるサンパウロ州のアーグア・ジ・リンドイアで、ブラジル時間の今朝、同氏と宿泊者の人々とFCバルセロナ対サントスFCの試合を、一緒にTV観戦した。サントスFCのサポーターがいる訳でもないが、ブラジルを代表するサントスを応援する雰囲気は充分に感じての観戦となった。
しかしながら、バルセロナが演じたサッカーは、サントスを粉砕するに値する至上のクォーリティを魅せ付けた。ブラジル・サッカーが屈辱を感じてしまうように、バルセロナは世界最高の試合を展開した。
準決勝のアル・サード戦もオスカー氏と観戦していて、バルセロナが演じているワンタッチ、ツウタッチでのポゼンション・サッカーの素晴らしさを痛感していた。決勝戦のサントス戦、多くのブラジル人は悲観的であった。ネイマールという非凡の天才選手はいるものの、全体的には、バルセロナのサッカーには勝てる気がしないという先入観があった。
結果は、世界中の人々が、バルセロナのポゼションの素晴らしさを実感したに違いない。ブラジル人の落胆ぶりは、言葉では表現し難い。しかし、バルセロナのサッカーに対しては、すべてのブラジル人が称賛し現実を真摯に受け入れている。
オスカー氏との付き合いは長いのであるが、最近までスカイプで話をしていても、監督としての現場復帰の気持ちは感じていなかった。それが、今般、ブラジルで一緒にいて、同氏は、もう一度、どこかで監督をしたいという欲求が出てきたという。そんな折、ガンバ大阪の次期監督候補として、同氏の名前が日本のジャーナリズムで問いだされていることを知った。確かに、ある日本のスポーツ新聞からの電話取材は受けた。しかし、同氏の目的は、バルセロナのようなポゼッション・サッカーをどこかで指揮したいと思っているようである。それが、日本であるかどうかは別物である。日本の新聞社から問い合わせを受ける以前に、自分は、同氏の意思を聞いていたので、ガンバの話はタイミングが良過ぎたのかと思っている。
同氏は、サントスの敗戦の戦犯としてガンソをあげている。現在のサッカーでは、テクニックに優れていても、相手をマークする運動量も必要であると力説する。メッシやネイマールは、それを実践していた。しかし、天才肌のガンソは、余りにも運動量が欠如していたと分析している。現在のサッカーでは、運動量の欠如は、チームへの貢献にはならない。
クラブ・ワールドカップ決勝戦をTV観戦後、ミナス・ジェライス州のモンチ・シオン市、アーグア・ジ・リンドイアからは車で5分程の所であるが、同氏の生まれ故郷でイタリア系移民の子孫である友人たちと、恒例のワインを飲みながらの語り合いに参加した。サントスを愛するある歯科医のサンティスタは、サントスのレプリカに愛着を持って着ていたが、現実に落胆するよりも将来に期待したいと語っていた。
混沌が常に身近にあるサッカー界ではあるが、バルセロナが魅せたサッカーは安定していて負けない、攻撃的な資質を全世界に知らしめたと思う。
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