先月、1カ月、ブラジルに滞在していたが、公式戦については、ブラジル全国リーグ(Campeonato Brasileiro)最終節でのコリンチャンスの優勝とJリーグ初優勝の柏レイソルの試合のTV観戦しか実現しなかった。旧知の友人を訪れる旅であったのであるからして、スタジアムに足を運ぶことは二次的であったので仕方のないものであった。
皮肉なもので、ブラジル時間の早朝に起床して眠気と戦いながらのJリーグの試合をチェックしてしまうことになったが、友人のネルシーニョの快挙に接して嬉しくも感じた。同様に、日本で開催されていたクラブ・ワールドカップも同様に早起きをしなければならなかった。しかし、自宅で独り観戦することとは異なり、ブラジル人の友人たちと一緒に意見交換をしながらの観戦は趣のあるものとも感じられた。
ブラジル全国リーグの最終節の午前中に、サンパウロFCやブラジル代表で活躍したソクラテス氏が逝去したので、全国の会場で試合前の黙とうシーンは同世代の自分としても感傷的になってしまったことを覚えている。ブラジル滞在中に幸運とも思える試合を何試合がTV生中継を観戦できたことは、別の意味で貴重であったとも感じていた。サンパウロFCや1982年のワールドカップでブラジル代表を率いた故テレ・サンターナ監督のメモリアル試合についても、友人のオスカー、ジーコが出場したり、敬愛するジノ・サニ氏が監督を務めたりで懐かしく楽しめた。年末には、モルンピー・スタジアムでソクラテス氏の追悼試合をジーコの呼びかけで行われ、現役のネイマールや怪物、ホナウド、アモローゾ始め懐かしい面々のプレーを見られたが、ジーコとソクラテスの実弟、ハイーの技術の高さと駆け引きには時間が戻ったかの楽しさも享受できた。
そんな折、今月3日から25日まで行われているU-19のコパ・サンパウロ・ジュニオールの話題を多く耳にしていた。ACミラン在籍のホビーニョもサントスFCのネイマールも優勝できなかった大会ではあるが、今回はふたりが在籍して参加したことのあるサントスFCが1984年以来の優勝候補となっている。1993,94,95,96年生まれの若手の大会で、今年は96チームが全国から参加している。次代のスーパースターが出現する大会としても知られている。
今回は、ネイマールの国外への移籍に関する違約金よりも5万ユーロも高く5,000万ユーロと設定されているサントスFCのFW、ヴィクトール・アンドラージ・ドス・サントス(Victor Andrade dos Santos)に注目が集まっている。171cm で小柄ではあるが、ブラジルだけではなくヨーロッパのビッグクラブから12歳頃から注目を集めている逸材。現在、16歳でありながら、バルセロナやマンチェスター・シティなどへの移籍流出を防ぐために2014年までのプロ契約をしたばかりである。スピード、テクニックなどは勿論のこと、ミドルシュートの精度が高く、ペレ、ホビーニョ、ネイマールの再来として騒がれていて活躍している。他にも逸材は多くいるものの、17歳のヴァルディヴィア、本名、ワンデルソン・フェフェイラ・ジ・オリヴェイラ(Wanderson Ferreira de Oliveira)が脚光を浴びている。4試合で8得点。ロンドーノポリス(Rondonópolis)のMF、北部のマット・グロッソ州で2006年に創立された新興クラブのU-18のカテゴリー所属の選手である。鋭いドリブルと決定力により、パルメイラス所属のヴェネズエラ生まれのチリ代表MF、本家、ヴァルディヴィアを超えるかもしれないポテンシャルを持つと思われ始めた。
プロとして成功を収めることが目標のブラジルでは、次々と次代の天才が育っている。日本でも、多くの若年層の台頭、出現を期待したいと思う。
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