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2012年2月

「コピーニャ」

2012/02/13(月)

 コパ・サンパウロ・ジュニオール、U19のサンパウロ州サッカー連盟主催の恒例の大会が125日に終了した。午前10時キックオフの決勝にも拘わらず、サンパウロ市のコリンチャンスとリオデジャネイロ市のフルミネンセの名門対決には、サンパウロ州立パカエンブー・スタジアムに37,000人の観衆を集めて熱い戦いが展開された。結果は、コリンチャンスが43回目の大会での8度目の優勝を飾った。

 コピーニャ(Copinha)の愛称でも知られるこの大会は、ブラジル国内に限らず、世界中のスカウトが集まる若い選手のスター街道をもたらす大会でもある。自分の親しい友人であるジョゼ・オスカー・ベルナルディ氏が運営するブラジリスFC(Brasilis FC)からは、3選手がコリンチャンスにレンタルされていて興味が高かった。そのようなことを知っていたので、育成というべきか若い選手の成長に関心を抱いていた時に、滝川二高から40名以上のJリーグ選手、海外でプレーする選手を育てた黒田和生氏と会食する機会があった。同氏は、ヴィッセル神戸を離れて、新たな挑戦をしたいと語っていた。

 同氏と話をしていて、共感することが多々あった。選手を育てることについて、同氏は、個性を伸ばすことを最重要に考えていたことと説明してくれた。会食中、ドイツのシュットガルトで活躍している岡崎慎司選手から同氏に電話が入った。教え子である同選手は、同氏を未だに慕っているものと感じた。恣意的な印象であるが、恩師に対する自分を自由に育ててくれた信頼関係のようなものを感じた。

 自分は、マニュアルという言葉に余り興味を覚えていない。理由は、生まれ持った、或いは、育った環境の中で個性を育んでいることを妨げてしまうことになりかれないと思うこともあってである。

 その後、サントスFCのネイマールが自身の誕生日の試合で、20歳にして通算100ゴール目を挙げた。所属クラブのサントスFCでのトップチームの得点だけではなく、U-17U-20、そして、セレソンでのゴールを含めてである。ネイマールも、コピーニャでの活躍が認められてトップチーム入りを果たしていた。

 ブラジルでは、1月の中旬から各州で、州リーグが始まっている。タイトなスケジュールの中で、年間、100試合をこなすチームもある。ネイマールは、先日、100ゴール目を挙げた後のサンパウロ州選手権(州リーグ、Campeonato Paulista)で、15分間でハットトリックを成し遂げて好調さを維持している。コピーニャで活躍し注目され評価された若い選手も、各州のリーグ戦でトップチーム・デビューを果たしている。

 コピーニャは、将来のスター選手が発掘される登竜門的な大会であるが、黒田氏と話していて個性を伸ばす奥深さを感じた。コパ・エスペランサ、U-18U-15U-12、そして、女子のチームを対象にした大会を、黒田氏の提唱で長い年月に渡り回を重ねてきているという。211日と12日、兵庫県下で東日本大震災に遭遇した塩釜FCを含めて日本全国から、多くのチームが参加した。黒田氏の意図は、普段、レギュラーとして試合に出られないBチームの選手に体験を積ませたいと考えた企画であるという。登竜門というと大げさになってしまうが、試合ができる機会を作り出すこと、そして、周囲が気づいてくれない個性、ポテンシャルを引き出すこと、こうした機会が継続されていることに将来の明るさを期待してしまった。

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