3月15日の夜、僕は知人、友人たちとホームズ・スタジアムにいた。日韓女子リーグチャンピオンシップを、冬が逆戻りしたかのような寒さの中での観戦であった。2,200人少々の観客数で、スタンドは更に寒さを助長したように思えてならなかったが。INAC神戸レオネッサが、どのような試合を韓国チャンピオンの高陽大教ヌンノピと戦うことについて興味を覚えていた。
試合前のウォーミングアップを見ていて、技術的にはINACの方が優っていると感じたし、内容も上回っていると思っていた。試合開始早々から、INACはゲームの主導権を握れていた。そして、前半8分、左サイドからの中央へのグランダーのパスを高良亮子選手のタイミングの素晴らしいパスから、大野忍選手の目の覚めるようなペナルティエリア内でのスピードに乗った突破とテクニックの優れた冷静なシュートで早々と得点を挙げてしまった。圧巻という表現が適切ではないかと、思ってしまった。
今月いっぱいは高校生の身分の京川舞選手が、交代出場後、2得点を挙げる鮮烈なデヴューも飾った。視野が広く、的確なポジショニングができるからこそゴールできたものと感じた。将来のなでしこジャパンのエースになることを、スタジアムにいた人たちのみならず、チームメートも佐々木則夫代表監督を確信したのに違いないと思わせるパフォーマンスであったと思う。同世代の仲田歩夢選手のフィジカルの強さからの突破も、可能性の大きさを感じさせてくれた。
なでしこジャパンは、昨年のワールドカップ優勝で確実に自信をつけ、成長し続けていると感じられた。代表のスケジュールでチーム練習に支障があったと思われて戦術やコンビネーションがプレシーズンの段階でしかないINACが、個の力は実証できたと感じられたからである。若い新戦力の台頭も順調であり、ロンドンオリンピックは楽しみである。
一方、U-23もロンドンへの切符を勝ち取った。扇原貴宏、山口蛍、清武弘嗣の3選手、セレッソ大阪トリオが素晴らしく感じた。しかし、現有勢力では、メダルに届くことは頗る難しいと感じてしまう内容であると思った人は多いと思う。OA枠の活用、ヨーロッパでブレークしている香川真司、宮内亮、両選手もメンバーに入れて戦う必要性は高いと感じる。
日本がオリンピック出場を決定した同じ日、ブラジルでは、マーノ・メネゼス監督がロンドンに向けて52名もの大量の候補選手の氏名を早々と発表した。実際、フル代表、セレソンでプレーしているロンドン世代のサントスFCのネイマール、ガンソ、サンパウロFCのルーカス、インテルナショナウのレアンドロ・ダミアンなど多くの逸材が当然の如く選ばれた。そして、52名の中にオーバーエージ枠の16名ものの選手の氏名も発表されたのである。どのポジション、GK、DF、MF、FW、すべてにOA枠の選手を選考した。最大の3選手がOA枠に選ばれたとしても、13選手は落選する。フラメンゴのホナウジーニョ・ガウーショやバルセロナのダニエウ・アウヴェス、インターミラノのジュリオ・セザールなども、錚々たるメンバーとして候補選手として選ばれた。
ブラジルは未だにオリンピックで金メダルを取ったことがないが、今回は、自国開催のワールドカップとともに頂点を目指す。目標を達成するために、敢えて、どの国も候補選手を決定しないこの時期に発表したことの理由に、18人に絞るまでの周到な能力分析と評価を行いたいとする発想がある。
期待大のなでしこに負けず、U-23のチーム構成と活躍を期待したいと思う。
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