「ブラジルにとっては、憂鬱な日」
ブラジルにとって、今までで最も憂鬱な日になったとは思わないけれど、その小さなひとつの日を迎えたのではないかと恣意的に思い入れもあって感じてしまった。
コパ・リべルタドーレスの予選リーグ、名門のフラメンゴは1週前にアウェイでパラグアイのオリンピアに2-3で敗北していた。そのこと自体、フラメンゴのラウンド16への進出が危惧されていた。そして、日本時間でいえば、4月5日の午前の試合でエクアドルのエメレックに同じスコアで敗れてしまった。アスンシオンとグアラジャキルというアウェイであっての試合ではあっても、タイトルを狙うチームとしては連敗は許されるものではない。
昨年、ACミランからフラメンゴに移籍してきたホナウジーニョ・ガウショは、チームを離れたいとアクションを起こし始めた。オリンピアがフラメンゴに勝利した後、直ちに、パラグアイ人の友人と話した。ブラジルに比較すれば選手の報酬は遥かに低いけれど、パラグアイには外国選手枠がないので、良い選手が多くいますよと。オリンピアには、登録26選手中12人の外国選手がプレーしている。香川真司選手がブレークしているブンデスリーガと似た様相を、僕は感じた。勿論、報酬を含めた待遇面については、ドイツとは比較にはならないと思っている。オリンピアもリべルタも、ラウンド16への進出の可能性を残している。ブラジルやアルゼンチンだけがイニシアチブが取れる時代は、変わりつつある。
一方、今週、フラメンゴはエメレックに同スコアで敗戦、予選リーグでの敗退があたかも決定してしまったようだ。エメレックは、オリンピアと異なりエクアドル人選手のみで構成されている。フラメンゴの失意は大きく深いが、リオデジャネイロ州以外のパウリスタ(サンパウロッ子)、ミネイロ(ミナスジェライスッ子)、パラナエンセ(パラナっ子)、ガウーショ(リオ・グランジ・スルっ子)、とりわけ、フラメンゴのライバルのフルミネンセ、ボタフォゴ、ヴァスコダガマのカリオカ(リオっ子)にとっては、面白い結果であると感じている。国内でのライバル意識が、高い所以である。
フラメンゴがエメレックに敗戦して10時間後ほど、ブラジル女子代表がなでしこジャパンに完敗した。ブラジル国内のメディアは、なでしこが魅せた試合を支配する能力の高さと技術力をも受け止めつつも、自国の女子代表に不安を感じ始めた。来日前のカナダとの試合も1-2で敗れ、ライバルのアメリカと日本に大敗を喫してしまったからである。”スカートをはいたペレ”ことマルタを召集できず、テクニシャンのフォルミーガを負傷で欠いたとはいえ、ロンドンでの金メダル獲得が使命であることに暗雲が漂い始めた。5月に、フランスとポルトガルとの対戦を経て、ブラジル国内での合宿を行った後ロンドン入りする。しかし、不安は、大きいようである。
親善大会といえども快勝したなでしこに、驚異と脅威を感じ始めている。アメリカへの優位性も示すことができたなでしこ、世界との勢力地図が変貌しつつあるように期待したいと思う。強豪クラブ、フラメンゴに勝利した環境面に劣るクラブが実証していることのように。同様なことが、今や層が厚くなりつつあるなでしこのチーム内で、ロンドンへの切符が18名の選抜という狭き門があり、それを通過するための競争原理が根底に生まれつつあると思う。
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